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数学 · 条件と否定

「すべてではない」は「どれもない」?条件の否定をほどく3つの例題

編集:ひと息遊戯・ひと息学び 運営 · 公開日: · 編集方針

3項目のチェックリストで、1項目だけ未確認だったとします。「すべて確認済み」は成り立ちませんが、「どれも確認していない」とも言えません。文を否定するとき、否定する範囲を広げ過ぎると別の主張になってしまいます。

数学の否定は、元の文が真なら偽、偽なら真になる文です。ここでは各文を真か偽のどちらかとして扱います。「すべて」「かつ」「または」を目印に、対象の範囲と条件の組み方を分けて、下の3例題を読みましょう。

「すべて」を崩すには、反例が少なくとも1つ

最初の例題は「すべての整数nでP(n)」の否定です。P(n)は、nを入れると真偽が決まる条件を表します。すべての整数で成り立つとは、成り立たない整数が1つもないこと。その否定は「P(n)が偽となる整数nが存在する」です。対象は否定する前も後も整数のままです。

P(n)を「nは偶数」とすると、1は反例なので「すべての整数は偶数」は偽です。一方、0は偶数なので「すべての整数で偽」までは言えません。反例には3もあるため「ちょうど1個」も条件が強過ぎます。「存在する」は少なくとも1つであり、数を1つに限定しません。「真の整数が存在する」も、例えばP(n)がn²≧0なら元の全称の文と両立するので、否定にはなりません。

「かつ」の否定で、両方の失敗を要求しない

2つ目の例題では、A、Bをそれぞれ1つの文とします。「AかつB」が真なのは両方とも真のときだけです。それを否定すると「少なくとも一方が偽」、つまり「Aでない、またはBでない」です。両方とも偽でも構いませんが、一方だけ偽の場合も含みます。

具体的に整数nについて、Aを「n>0」、Bを「nは偶数」としてn=3を入れます。Aは真、Bは偽なので「AかつB」は偽。その否定は真ですが、「Aでない、かつBでない」は偽です。真偽を(真,真)、(真,偽)、(偽,真)、(偽,偽)の順に並べると、「かつ」は最初だけ真、否定は残り3通りで真になります。

数学の「または」は、両方とも真を含む

3つ目の例題は「AまたはB」が含む場合を聞いています。ここでの「または」は、少なくとも一方が真なら真です。先ほどの条件でn=2なら、正であり偶数でもあるので、両方とも真。この場合も「AまたはB」に含まれます。「一方だけ」としたい場合は、その追加条件を明示する必要があります。

「AまたはB」が偽なのは両方とも偽のときだけです。従ってその否定は「Aでない、かつBでない」になります。「かつ」の否定と並べると、各文を否定すると同時に、かつとまたはを交換しています。この2つがド・モルガンの法則です。単語の置換だけで暗記せず、真偽4通りで同じ結果になるか確認しましょう。

否定する範囲と、対象の範囲を保つ

「AかつB」全体の否定は、「Aでない、かつB」とも違います。Aだけを否定してしまうと、例えばAが真、Bが偽の場合を取り逃します。まず否定する文全体を括弧で囲み、その内側の組み方を確認します。「n>0」の否定も「n<0」だけではなく、0を含めた「n≦0」です。

対象の範囲も書き残しましょう。整数の中では「偶数でない」を「奇数」と言い換えられますが、実数全体に範囲を変えて同じ言い換えをすることはできません。また、1つのnでP(n)が真と分かることと、すべての整数で真と分かることは別です。否定を作る途中で「ある」と「すべて」を勝手に読み替えないようにします。

3例題を、対象のメモと4行の表で解き直す

紙の練習では、最初の例題の横に「対象=整数」「すべて→少なくとも1つの反例」と書き、偶数の条件で「全員失敗」「ちょうど1つ失敗」が強過ぎる理由を確かめます。続く2問ではAとBの真偽を4通り並べ、「かつ」「または」の結果と、その反対の真偽を書きましょう。順番を(真,真)、(真,偽)、(偽,真)、(偽,偽)とすれば、「かつ」の否定は偽・真・真・真、「または」の否定は偽・偽・偽・真です。

文字に値を入れるところを復習するなら、前提記事「文字式も怖くない!xや等式の意味がスッキリわかるコツ」へ。条件を整理したあとで場合を数える練習へ進むなら、関連記事「「並べる」と「選ぶ」はどう違う?順列と組合せをスッキリ見抜くコツ」が続きになります。練習では高校・標準の「論理・応用」が選ばれ、この3問以外の同条件の問題も含まれます。

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まずは例題で確かめる

選択肢を比べてから「答えと解説を読む」を開いてください。ここで読んだ例題は、テストの解答や成績として保存されません。

例題 1 · 論理・応用

「すべての整数nでP(n)」の否定は?

  1. すべての整数でP(n)が偽
  2. P(n)が真の整数が存在する
  3. P(n)が偽となる整数がちょうど1個ある
  4. P(n)が偽となる整数nが存在する
答えと解説を読む

正解:P(n)が偽となる整数nが存在する

「すべての整数でP(n)」を否定するには、Pが成り立たない整数が少なくとも一つあれば十分です。従って否定は「ある整数nでP(n)が偽」となります。「すべての整数で偽」まで要求すると強すぎます。

考え方・補足を読む

例えば「すべての整数は偶数」の否定には奇数1を示せばよく、偶数が一つもないと主張する必要はありません。 「存在する」はちょうど一つに限りません。整数がすべて偶数という命題には、1も3も反例になります。

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例題 2 · 論理・応用

「AかつB」の否定は?

  1. Aでない、またはBでない
  2. Aでない、かつBでない
  3. AまたはB
  4. AかつB
答えと解説を読む

正解:Aでない、またはBでない

AかつBが成立するには、両方が真である必要があります。その否定は「少なくとも一方が偽」、つまりAでない、またはBでないです。Aだけが偽でも「両方真」は崩れるので、両方とも偽とまで求めません。

考え方・補足を読む

真偽を四通り並べると、AもBも真の場合以外の三通りが否定に当たります。

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例題 3 · 論理・応用

数学の論理で「AまたはB」は通常どの場合を含む?

  1. AとBの両方が真の場合も含む
  2. 必ず一方だけ
  3. 両方偽の場合だけ
  4. Aが偽の場合だけ
答えと解説を読む

正解:AとBの両方が真の場合も含む

通常の論理和は包含的。片方だけという条件は別に指定する。

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